本好きプチFIREのゆるいブログ

本とお金、そして東芝ブレイブルーパス東京を中心としたラグビーのブログをはじめてみました

幸せなひとりぼっち フレドリック・パックマン/著 早川書房 レビュー(1)

 図書館から借りた本を読み終わり、次の本がまだ予約中だったため、何かないかなと思って、たまたま見つけた本。題名を見て惹かれました。
 読み終わった感想は、訳者のあとがきと全く同じで、「なんだかよくわからないけれど、ジワジワくる、すごくいい本です」というものです。

 (ちょっとストーリーを書いてしまうので、不要な方は飛ばしてください)

 主人公オーヴェ59歳。無口で頑固。融通が利きません。また、境遇からしてとても幸せというものではないのです。オーヴェが6歳の時に母が亡くなり、父はオーヴェが16歳の時に亡くなりました。その後、駅でたまたま知り合った女性(ソーニャ)と結婚しました(このあたりは小説らしいと言えば小説らしいところですが)。間もなく子供が授かりましたが、幸福もつかの間、一緒に乗っていたバスが事故を起こします。オーヴェもソーニャも何とか助かりましたが、ソーニャのお腹の中の子供は亡くなり、ソーニャ自身も車椅子生活を余儀なくされてしまいます。その後、40年夫婦二人で生活をするのですが、その妻にも半年前先立たれてしまい、ひとりぼっちになってしまいます。そして、物語はここからスタートします。

 時系列で書いていくと暗くなりそうなのですが、この本は現在の出来事を暫く書いてからオーヴェの幼少期を書く。そしてまた暫く現在の出来事を書いてから、オーヴェの青年期を書く・・・というように、現在とオーヴェの過去を行ったり来たりしながら書いているのです。そして、現在の出来事は基本ちょっとしたドタバタ劇なので、オーヴェの暗い過去をうまく補っています。
 また、筆者は、一つ一つの描写に時間をかけています。

 (続きます)