本好きプチFIREのゆるいブログ

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世界でいちばん幸せな男 エディ・ジェイク/著 河出書房新社 レビュー(3)

④運もあった。
 フランクル氏の具体的な運のよかった話しは忘れてしまいましたが、ジェイク氏は、工場の責任者に父親の知り合いがいて、ドイツ兵の目を盗んで食事を分けてくれたことや、アウシュビッツ収容所に親友のクルトがいたこと、また、「死の行進」から脱走しほとんど力が無くなった時、アメリカ兵が助けてくれたことなど、幸運もあったと思います。

 「夜と霧」は勿論、「世界でいちばん幸せな男」には、ドイツ兵やカポの残虐性も記載されています(カポとは、ユダヤ人でありながら、収容所でドイツのためにユダヤ人を看守していた人です)。それらは色々語り継がれており、勿論、「夜と霧」でも「世界でいちばん幸せな男」にも記載されています。
 ジェイク氏は、長年収容所の話しをしなかったそうです。それは、過去を振り返ることになるからです。話しをすれば、嫌な過去を思い出さなければなりません。そのジェイク氏が本を書いたのは、そういう悪事を語り継いでいくというよりも、この本の表題(世界一幸せな男)が記している通り、「幸せとは何か」を見つけたからだと思います。ジェイク氏は、「人生は美しいものにしようと思えば、美しいものになる」、「幸せは選ぶことができる。選ぶかどうかは自分次第である」と記載しています。そして、「憎しみは敵だけではなく、自分自身も滅ぼす」とも記載されています。
 これらがジェイク氏が言いたかったことであり、この本の底流に流れています。収容所生活を送ったジェイク氏だからこそ言える言葉であると思います。