本好きプチFIREのゆるいブログ

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世界でいちばん幸せな男 エディ・ジェイク/著 河出書房新社 レビュー(3)

④運もあった。
 フランクル氏の具体的な運のよかった話しは忘れてしまいましたが、ジェイク氏は、工場の責任者に父親の知り合いがいて、ドイツ兵の目を盗んで食事を分けてくれたことや、アウシュビッツ収容所に親友のクルトがいたこと、また、「死の行進」から脱走しほとんど力が無くなった時、アメリカ兵が助けてくれたことなど、幸運もあったと思います。

 「夜と霧」は勿論、「世界でいちばん幸せな男」には、ドイツ兵やカポの残虐性も記載されています(カポとは、ユダヤ人でありながら、収容所でドイツのためにユダヤ人を看守していた人です)。それらは色々語り継がれており、勿論、「夜と霧」でも「世界でいちばん幸せな男」にも記載されています。
 ジェイク氏は、長年収容所の話しをしなかったそうです。それは、過去を振り返ることになるからです。話しをすれば、嫌な過去を思い出さなければなりません。そのジェイク氏が本を書いたのは、そういう悪事を語り継いでいくというよりも、この本の表題(世界一幸せな男)が記している通り、「幸せとは何か」を見つけたからだと思います。ジェイク氏は、「人生は美しいものにしようと思えば、美しいものになる」、「幸せは選ぶことができる。選ぶかどうかは自分次第である」と記載しています。そして、「憎しみは敵だけではなく、自分自身も滅ぼす」とも記載されています。
 これらがジェイク氏が言いたかったことであり、この本の底流に流れています。収容所生活を送ったジェイク氏だからこそ言える言葉であると思います。

世界でいちばん幸せな男 エディ・ジェイク/著 河出書房新社 レビュー(2)

 アウシュビッツ収容所の平均収容期間は7ヵ月だそうです。ジェイク氏は1944年2月~1945年1月くらいまでアウシュビッツ収容所にいたようですので、11ヵ月くらいいたことになります。つまり、平均収容期間以上いたわけですね。

 さて、ジェイク氏とフランクル氏(「夜と霧」の作者)の共通点ですが、
①心が折れなかったということ。
 希望を捨てなかったことですね。ジェイク氏にはクルトという友人がいたことで絶望的な局面から救われたと何度も書いています。

②ドイツ軍にとって有為であったこと。
 フランクル氏は精神科医で、ジェイク氏は機械の専門家でした(ドイツの専門学校で優秀な成績をおさめていたようです)。ジェイク氏は収容されていた時、工場の設備管理の仕事をしていたようです。ガス室に送られる手前で助かったことが3回もあると記載されてました。
 また、医者はかなりの人数が収容されていたようです(「ドイツに住んでいた中流階級ユダヤ人の1/5は医者だったようだ」と記載されています)

③体力があったこと。
 1945年の段階で、フランクル氏は40歳。ジェイク氏は25歳でしたが、年齢によらず、体力がなければ生きながらえなかったように思います。実際、ジェイク氏が怪我を負った時に優しく手当をしてくれた医師からは、「ここでは、無駄な体力を使わないことだ」と諭されて、体力の温存に意識を向けていったと書かれています。

 (続きます)

世界でいちばん幸せな男 エディ・ジェイク/著 河出書房新社 レビュー(1)

 先日書評した、「夜と霧」に続く、ユダヤ人収容所経験者が書いた本です。「夜と霧」を読んでいた時、たまたまネットで知り、図書館で予約したものです。

 「夜と霧」の著者(ヴィクトール・E・フランクル)は、精神科医であることから、学術的な内容に注視していたような感じですが、「世界でいちばん幸せな男」の著者(エディ・ジェイク)は、ドイツに住むユダヤ中流階級出身です。そのためか、表現的には馴染みやすく、読みやすいものとなっています。

 それにしても、ジェイク氏は1920年生まれですので、現在101歳。普通でもなかなか100歳まで生きられる人はまれであるというのに、収容所での過酷な生活を送りながら、100歳を超えてなお健在というのは「凄い」の一言です。
 本を出版するくらいですから、認知症でもないようですし、写真を見ると、背もまがっておらずシャキッとしており、健康そのもので、とても100歳には見えません。2019年にはTEDx Sydneyで講演をしたこともあるようです。私は、「世界でいちばん幸せな男」でジェイク氏を知ったのですが、結構有名な方だったのですね。

 ジェイク氏は、最後はアウシュビッツ収容所にいたそうですが、それまで他の収容所にも入れられてたようで、かなり数奇な運命を歩んでいます。その彼がどうやって、生きのびることができたのか。「夜と霧」にも書かれていた内容と合致する箇所が幾つかあります。

 (続きます)

 

ひふみ投信一部売却しました。

 前回のブログで、ひふみ投信売却について記載しましたが、先日、一部売却しました。週末、コロナウイルスの変異株が原因で、相場が急降下してしまいましたが、その前に売却しましたので、運が良かったです。
 投資信託は、ETFと違って売買金額が見えないのがちょっと怖いところですね。でも、大部分は残していますので、含み益は少し縮小してしまいました。ま、元々長期投資でやっていますので、この辺りは想定済みではありますが。

 で、売却したのを今後どうするかということですが、今は、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」か、「SBI・バンガード・S&P500」のどちらかを買おうかと思っています。両方とも甲乙つけがたい、低コストのインデックスファンドですが、「迷うなら、両方買うのもあり」という記事を見かけましたので、それも有りかなと。

 そうすると、どこの証券会社口座を使おうかということになるのですが、楽天証券では、楽天カードを使って投信積立をすると、カード決済額100円につき1ポイントの楽天ポイントがつくそうです。上限金額は5万円までですので、上限目一杯使えば、500円分のポイントがつく計算になります。

 SBI証券では、米国ETF銘柄などを外貨で買う時のメリットは調べたのですが、国内の投資信託を買う場合のメリットを調べてないので、これから調べてみようと思っています。その内容を見て、2つの証券会社で併用するか、楽天証券1本に絞るか、決めるつもりです。 

生き残る判断 生き残れない行動 アマンダ・リプリー/著 光文社 レビュー(6)

3.決定的瞬間

 「決定的瞬間」と書かれていますが、「思考」後の行動ということかと思います。否認して、思考し、その後行動するということです。

 この章では、パニックや英雄的行動など、何故人はそのような行動をとるのかを記載しています。パニックは一種の集団心理なのですが、英雄的行動をとる理由は、よく分からないみたいですね。

 でも、思うに、「思考」で書かれていた、「現実に適した訓練」が肝だと思うのですね。人は、過去経験してないことは思考しにくいのですから、疑似体験をして身につけていけば、実際に適した行動がとれるということなのだと思います。
 それと、日頃からの意識づけですね。これも「思考」で書かれていたことですが、普段から出口や避難経路を意識することで、災難から身を守ることができると思います。

 そして、最後の方に、興味深いことが書かれていました。それは、私たちが先天的なものと思い込んでいる能力は、ほとんどそうではないということです。「男性は女性より、空間認識能力が優れている」、「女性は男性より言語能力が優れている」とよく聞きますが、実際はそうでもないようです。そのような環境にいるから、そういう能力が身につくということなんですね。上述した、訓練・意識づけなども同じことだと思います。固定観念(これは潜在意識にも結びついていくと思います)にとらわれずに柔軟に考える習慣を身につけていくことが重要だと思いました。

生き残る判断 生き残れない行動 アマンダ・リプリー/著 光文社 レビュー(5)

 思考において、注意しなければならないのは、集団心理です。人は、集団でいると、その集団の意思に知らず知らず従う傾向にあります。会社の会議でも、自分だけ反対意見を言うのって難しいですよね。ましてや、災害やテロにあった時は、事態が呑み込めない状況なだけに、独断で判断するのは一層難しくなると思います。
 ですから、非難しなければならないのに、誰も避難しない中、自分だけ非難するということが出来なくなるらしいのです。ある飛行機事故では、近い出口を無視してわざわざ他の人たちについて行ったため、亡くなった人もいるようですね。いざと言う時、しっかり思案して行動をとることができるようにならなければ、そのまま災難に巻き込まれていってしまいます。集団心理にも注意しなければならなりませんね。

 あと、誰かと繋がっていたいという気持ちも働くようです(集団心理も「誰かと繋がっていたい」という気持ちに基づいている部分もあるかと思いますね)。特に、家族や恋人への想いは強く、9.11でも事故の直後、家族や恋人に電話したり、メールしたりしていた人が結構いたそうで、その中には避難が遅れた人もいたようです。

 これらは「不安」が引き起こすものだと思いますね。一人だと不安なので、人と繋がっていたい。その気持ちも分からないでもないですが、恐怖同様、不安も思考を停止させる要素を含んでおり、注意しなければならないように思います。

 (続きます)

生き残る判断 生き残れない行動 アマンダ・リプリー/著 光文社 レビュー(4)

2.思考

 人は、否認しても否認しきれない現実に直面し、考え始めるようです。だが、迫っているのは非常事態。何を考えればいいのやら。

 人は、ストレスを感じれば感じるほど、視野狭窄に陥いるそうです。自動車を運転中に携帯電話で話をしてはいけない理由がここにあります。運転と電話の2つをすることでストレスを感じ、視野狭窄になるそうです。脳は一度に一つのことを集中するようになっているようですね。気をつけなければならないのは、通話終了後も視野狭窄が続くということ。電話は自動車を停めてからにしましょう。

  また、人は恐怖を感じると、(汚い話ですが)失禁するそうです。徳川家康三方ヶ原の戦いで、武田信玄から逃げる時、脱糞したのは有名ですね。
 第二次世界大戦に参加した兵士の10~20%がパンツに排便したと答えているそうで、著者は実際はもっと多いだろうと推察しておりました。

 そんな中では思考が思考になりませんね。そこでしっかり思考するには、
 ①何度も現実的な訓練をする。
 ②ホテル・飛行機・ビルに行った時は、出口や避難経路を覚えておく。
 準備しておくということですね。①はなかなかできないかもしれませんが、②は自分が意識すればできます。ちょっとした習慣が身を守ることになりますね。実際、9.11の時は、階段を知らなかった人たちが結構いたらしいです。

 更に、著者は、戦闘トレーナーに恐怖を克服する方法を聞いたところ、「呼吸を整えること」と答えたとのことです。それも、とても簡単な方法らしく、
 4秒で息を吸う、4秒で息を止める、4秒で息を吐く、4秒息を止める。
 これを繰り返すだけらしいですね。
 呼吸は恐怖だけではなく、怒りなどを鎮めるにも効果があります。同様に、笑いも恐怖だけではなく、怒りを鎮めるのに効果がありますね。

 (続きます)